AとBの比較と考察 DVDキャプションⅡ-2
それぞれのパターンにおいて違うなと思ったシーンの比較とそれに伴う考察
なんだかだんだん気持ち悪い考察になって気がするが自己満足なのでそのまま書きます。
クレールの狂気が現れ始めたところ(ソランジュがクレールの狂気に気付いたところ)
A:
「あたしは名前どおりクレール、~」の台詞から。
→ソランジュが心配そうにクレールを見つめ始めている。
Aのソランジュはよくクレールを見ている印象。
表情から彼女の狂気を感じ取っている?
B:
「およこし、タオルを!」の台詞から。
→そのシーンまでソランジュはクレールを見ていない。
Bのソランジュは声から彼女の狂気を感じ取っている?
クレールを寝かしつけるシーン
A:
クレールの顔が見えない。
クレールは寝かしつけられてから眠そうな声になっている。
ソランジュの手を握る。ソランジュの方からクレールの手を握っている。
→生粋の妹気質、クレールの幼さが一気に表面に出てくる。
Aのクレールは一度は寝入ろうとしている気がする、優しい姉さんのそばで。
そしてこのシーンは唯一ソランジュが姉としてふるまえる瞬間
興奮した妹を寝かしつけ、その手を握ってあげる。
最大級に年下の妹を甘やかす瞬間だけが彼女が姉としての尊厳を守ることができる時間
B:
クレールの顔が見える。
寝かしつけられても声ははっきりとした声(眠そうでない)
そして「寝るのよ」とソランジュに言われているのにすぐに眼を開けてしまう。
ソランジュに手を伸ばす。でもその手をソランジュは握り返さない。
泣きそうな声のクレール。
→クレールは頑なに寝ようとしない。絶対に。
眼を閉じる事が怖くて仕方がないように、彼女は何度も眼を開き、そして手を伸ばす。
姉さんがそばにいることを確かめるように、Bのクレールは姉さんが永遠にそばにいてくれるわけじゃないと知っているのだろうと思う。
だからこそ、過去の仲良く木の下に寝転がっていたあの日を泣きそうな声で話す。
クレールが起き上がってから
A:
クレールはまだ眠たそうな声で話す。
少しずつ無邪気な子供のような声で笑うようになる。
睡眠薬を持った彼女はうつろな声で「入れるのいくつ?」と聞く。
→奥さまを殺すという計画に行き当たりばったりさを感じさせる話し方に聞こえる。
きっとクレールにとって台所にいるネズミを殺すのと奥さまを殺すのはそんなに大差ない。
睡眠薬の数を聞いた時もまるで菩提樹花のお茶にお砂糖をいくつ入れるのか聞くかのような印象。
それだけ無邪気で、残酷な印象を与える話し方。
B:
クレールの声ははっきりとしている(寝てないから)
BのクレールはAのクレールほど笑わない。
→計画性が見え隠れする。
きっと今夜がたまたま決行の日だっただけで、ずっと前から自分が毒殺魔になることを夢見ていたとしか思えない。
AとBの比較と考察 DVDキャプションⅡ-1
それぞれのパターンにおいて違うなと思ったシーンの比較とそれに伴う考察
キャプションⅡはいろいろ考える所が多すぎるので分割します。
・「認めるだろう、それは~」
A:
クレールはいたずらが成功した子供のように話しているのにソランジュはちっとも笑っていない。むしろ沈んだような表情でクレールを見ている。
→無邪気なクレールを心配している。この時既に自分たちの失敗を予感している?
B:
こちらのクレールもいたずらが成功した子供のように話している。ソランジュは笑いを堪えるかのように下を向いて、少しほくそ笑んでいる。
→奥さま顔を思い出して笑っているような感じ
・イライラの仕方 「苛々するわね、まったく!」のシーン
A:
クレールの苛々の仕方は少し声を荒げ、大きく身体をのけぞらせている。
→苛々が表面に現れている。苛々を相手にぶつけて消化しようとしている。少し男性的?な印象を持つ
B:
声を荒げる事はなく、それでも言葉の端に苛立ちが滲み出ている。
→自分のなかで消化しようとするが、十分に消化しきれていない印象
冷静になろうとして冷静になりきれてない。
・旦那さまからの電話
A:
クレールが受話器を取りに行くシーン、クレールはバタバタと急いでいる。
旦那さまの伝言をソランジュの眼を見つめながら繰り返している。
動揺のあまり受話器を電話に置き忘れている。
「判事が~」の台詞では憔悴しているようす。
→急いでいるシーンは自分がやらなければいけないことを一刻も早く終わらせようとしている。
ソランジュの眼を見つめながら話しているのはソランジュにも伝言の意味が伝わるようにしている為?
旦那さまが出てきたことが自分たちの失敗を意味している事を理解している、そしてそこで思考が停止している。
受話器を置き忘れている事が自然に見える。
B:
ゆっくりと歩いて電話に向かっていく
伝言を繰り返す時、ソランジュの事を見ていない
旦那さまの伝言を聞いた後唇を少し噛んでいる(?)
判事が~」の台詞はあっけらかんと言っている
受話器を置くとき、最後まで受話器を見ている。
→冷静さを取り戻す為にゆっくりと歩いている。
受話器の向こう側に誰がいてもいいように。
クレールの中で旦那さまの伝言を噛み砕いて完結させようとしている。
ソランジュに伝える気はない。
受話器を最後まで見ているせいで受話器を外したままにしているのが少し不自然に感じる。
それだけ心の中では動揺している、と捉えればいいのかもしれないが、彼女がするミスにしてはすごく稚拙だな、と感じる。
「判事が~」をあっけらかんに言っている所は最悪の結末に転がり堕ちているのに、「なんでもないわ、こんなこと」と思いこもうとしている。
(本当に彼女は感情を表に出そうとしないな、と思う瞬間)
・「愛しすぎているということ」という台詞
A:
クレールはソランジュのことを見ていない
→クレールはソランジュの事を言っている
ソランジュがクレールを「愛しすぎている」
B:
クレールはソランジュの事を見ている
→クレールはクレールのことを言っている
彼女はソランジュを見ている。自分にそっくりなソランジュを。
クレールがソランジュを「愛しすぎている」
AとBの比較と考察 DVDキャプションⅠ
それぞれのパターンにおいて違うなと思ったシーンの比較とそれに伴う考察
・ソランジュがクレールを見るときの表情
A:
ソランジュは半ばあきれたような表情、もしくは睨みつけるような表情の場面もある。
→奥さまを演じるクレール越しに奥さまをみている?
少なくとも妹に向ける表情ではない
B:
オーバーな表現のシーンでは少し笑ったりしている。
→奥さまを演じるクレールをみている。
私達が誰かのモノマネをする時、似ていると笑ってしまうような、そんな印象
・ソランジュの怒りの沸点について
A:
牛乳屋の話をしたあたりからスッと声が落ち着きはじめる
如実に怒りを表すのは鏡にむかって「わたくしだって、憎んでおります、あなた様のことを」のあたり
→矢崎ソランジュの怒りの沸点は低い。
彼女の入ってはいけない領域に入ってしまいプチンと糸が切れてしまったらおわり。
でもその怒りを表には出さず心の中でメラメラと憎しみの炎を燃やしている
B:
「何でも好きなトリックをお使いなさい。」のあたりから怒りが如実に表れてる。
それまではイライラはしているが、怒っているという様子はない。
→碓井ソランジュの沸点は高い。
イライラはするが怒りにはならない。
少しずつ怒りの沸点に近づいていき、爆発する。
彼女の触れてはいけないところに触れただけでは怒りにまではならないが、ある程度我慢してからキレるので、切れた時には感情のコントロールが追い付かない。
絞殺シーン
A:
楽しそうに笑う
→冷静なくせに、自分のしている事が心底面白いと思っている。
やっと目的が成し遂げられるという笑い。
計画的犯罪の匂いがする。
B:
興奮した笑い
→この(人を殺してしまうという)状況にいる自分が面白いという笑い。
衝動的で、感情と行動がマッチしていない。
それぞれの役の印象
まずは各々の役の印象から
【矢崎ソランジュ】
彼女は不器用。うまく立ち回れない女性。
クレールを愛している。おそらく彼女の1番はクレール。
奥さまの事も愛しているがおそらく何番目か後ろ。
姉であることに優越感を持っているが、と同時にクレールの若さがうらやましい。
牛乳屋の事は結構好き、好きだからクレールに牛乳屋の事を言われた時にはキレてた。
この作品の中で1番キレやすいのは彼女。
彼女はこの作品の中で一番奥さまに愛されず、そして奥さまを殺せない人
奥さまの前では笑顔を絶やさないが、彼女の努力は奥さまには伝わらない。
【碓井クレール】
姉から愛情をもらい、奥さまから可愛がられて出来上がった化け物。
自分の感情のコントロールが追い付いていない。
彼女がこの作品の中で一番幼い。
自分は牛乳屋からなんだかんだ1番愛されていると信じている。
自分が無意識に破滅へと転がり落ちている事に気がつかない、気が付けない子。
馬鹿ではないが、賢くもない。
【碓井ソランジュ】
矢崎ソランジュほど不器用じゃない。
奥さまからもそこまで邪険にされない。
彼女の一番は奥さま。だけど主人として愛しているだけ。
矢崎クレールのことを愛しているけど愛の深さで行くと、碓井ソランジュ→←←←矢崎クレールといった感じ。
妹として愛しているし、ちょっとそれ以上の感情もあるけれど矢崎クレールの愛にはまける。
【矢崎クレール】
自分が愛されない事を知っている人、そして媚び方を一番知ってる人。
今作品1番の化け物であり、彼女は自分が化け物であることを知っている。
奥さまを殺すところに一番近い場所にいる人。でも殺せない。
彼女の一番はソランジュ。
牛乳屋のことも、奥さまの事も愛しているが各々がソランジュの敵になった瞬間なんの躊躇もなく切り捨てる。
【奥さま】
この舞台における安定剤。
決して物事を推測することに長けているわけではないが、感性が鋭いおかげで無意識のうちにいろいろな事に気が付いてしまうお方。
女中たちのことは愛している。
自分の洋服や、家具を愛しているように、
だからこそ彼女たちのことをよく見ているようで、よくみていない。
私達が洋服箪笥や本棚をまじまじと見ないような、そんな感覚。